慢性期の治療例(リハビリテーション)
⾝体の動かしにくい部分や、⾏いにくい⾏動、学校・職場などで困っていることなどを改善する、機能を維持する⽬的のリハビリテーションを継続します。
障害が⽐較的軽度な⽅は⾃主トレーニングがメインとなりますが、介護スタッフやご家族など介助者に⼿伝ってもらう必要が⽣じることがあります。
障害が重かったり、いくつかの障害が重なったりしている⽅では、専門医を中心としたチームによるリハビリテーションの継続が検討されます。
リハビリテーションの例
動かしにくくなっている関節のこわばりを防ぐための訓練などを⾏います。
ご⾃⾝では動かしにくい場合は、介助者に補助してもらいます。(⼊浴などで⾝体を温めると、関節を動かしやすくなります。)
また、運動に関わる脳の部位の損傷を治療するための再生医療や、機能の回復を促す先進リハビリテーションが徐々に導入されてきています。
リハビリテーションについて
回復期以降の治療では、主にリハビリテーションが⾏われます。
リハビリテーションの⽬的
- ⾝体の機能や基本動作を維持・向上させる
- ⼆次的合併症を予防する
そのため、リハビリテーションの内容はTBIの部位と程度、TBIと同時に負った頭部以外のケガ(例:⼿⾜の⾻折)の状態、年齢などによって、患者さんごとに異なります。
リハビリテーションに期待される効果
- 筋力をつけ、筋肉の動かし方を学習する
- 関節のこわばりを予防する
- 損傷していない脳の領域による機能代償
機能代償とは
脳の損傷により、神経細胞がなくなってしまった場合、基本的にその部位が再⽣して元に戻ることはありません。しかし、時間が経過するにつれて、損傷部位が受け持っていた役割を損傷していない部位が引き継いだり、残っている機能や⾝体の部位を代⽤することで、現在の状態に適した新しい機能を獲得したりすることがあります。
こういった脳の変化は、運動機能障害部位の使⽤頻度に応じて起こりやすいことから、継続したリハビリテーションにより、運動麻痺などを改善する効果が期待できます。
監修国際医療福祉⼤学医学部 脳神経外科学
教授 末廣 栄⼀ 先生